後継者のために経営者が引き連れていく

公開日:2015/07/14

更新日:2019/04/15


こんにちは。

売上と社員のやる気を一度に伸ばす事を支援する
ウィズスマイル降旗(ふるはた)です。

ある交流会で出会った、
NPO法人の代表理事の年配の女性Tさんとの話です。

その方は、
すでに30年以上その仕事に携わっています。
NPO法人化して10年近く。

女性ご自身が70歳を超えているので、
そろそろ引退を考えていると。

以前、引退を口にしたら、
「辞めないで。まだTさんじゃなければ、
できないことがたくさんある」と、
他の理事から慰留され、
今日に至っているとのことです。

 

ご自身の意思を継ぐ後継者候補は、
いらっしゃるそうです。

NPO法人ということもあり、
他にお仕事を持っている方も少なくありません。
後継者候補は、
専念できる50代の副理事長の方にほぼ決まり、
だそうです。

ご自身は理事長を譲り、
実権はないが、求められれば相談、
アドバイスに応じる、
会長、相談役のような立場に退きたい
とのお考えです。

しかし、
後継者が引き受ける状況になかなかならず、
理事を譲ることができないとのこと。

実際の会社での事業承継にも、
同じような状況が起きています。

 

ここで、事業承継を含め、
実権を譲る際に、
一つの勘違いがあると考えています。

それは、、、

経営者、社長、今回は理事長という、
最高責任者が、
自分だけ身を引き、
後継者に実権を譲ろうとすることです。

「えっ、当たり前のことじゃぁないの???」
と思われたかもしれませんが、
ここが勘違いの素です。

 

先ほどのNPO法人の場合、
理事長の座を副理事長に譲ったとします。

50代の理事長が誕生しますが、
その周辺は現実には複雑です。

現理事長が始めた時から一緒にやってきた方々が、
当然残っています。

50代の新理事より、
年齢は上で、携わった年数も長い、
という方々が理事として残ります。

ここで何が起こるでしょうか?

新理事長が何かをやろうとすると、
「私は昔からやっているからわかっているけど」
「あなたが携わる前から、こうやってきたから」
などと、以前からの理事は、
口を突っ込む人たちに変わります。

新理事長にとっては、
なんとも口うるさい小姑のような存在です。

理事長という権限があっても、
「組織の和」を崩すことが怖い。

自分の知らない過去を持ち出されると、
反論できない。

後継者として理事長になっても、
色々とやりにくい。

という状況に陥ることは、よくあることです。

経営、会社の場合は、
「以前からの理事」を、
創業時からの古参社員、ベテラン社員、
今の経営者・社長の番頭格の社員、
に置き換えるとわかりやすでしょう。

後継者が押さえられないので、
後継者にとっては、
なんとも厄介な状況になりかねません。

それなら、今の理事長で、
行けるところまで行こうと後継者候補が考えても、
不思議ではありません。

仕方なく後継者として継いでしまい、
面倒な状況に陥っている、
というケースも少なくありません。

 

じゃぁ、どうするのか?
どうすれば、勘違いを起こさずに、
上手に後継者に譲ることができるのでしょうか?

それには、、、

今回の事例の場合ならば、
理事長が引退する際に、
以前からの理事も引き連れて引退することです。

会社でいえば、
経営者・社長が一線を退く時に、
古参社員、番頭格社員を、
前後して一線から退かせるように、
引き連れていくことです。

最高責任者自身だけが退くのではなく、
後継者が動かしやすいように、
ベテラン、古参、番頭格を、
一緒に引き取るように身を引くことです。

代替わりを主に考えると、
自身が退き後継者に譲る、
という発想になります。

これが今まで一般に行われ、
世の中の常識で通っている事業承継です。

だからうまくいきません。
失敗します。

主眼に置くことは、
経営・事業をどうやって継続し、
さらに発展させるのか?
という観点です。

その過程で、
最高意思決定者が、
今の経営者・社長から後継者に代わる、
というのが本来の事業承継です。

後継者が、どのような状況になれば、
経営・事業運営を行えるのか?
事業・経営を継続し、
成長させることができるのか?
を考えましょう。

後継者が進もうとすることに、
過去からの慣習や慣例、会社の常識を振り回し、
妨げる可能性がある人たちは、
調整しておく必要があると思いませんか?

事業承継とは、
経営者が代わることではなく、
経営を行う環境を整備すること、
と考えています。

そして、ずっと共にしてきた理事、
古参社員、番頭格社員を調整できるのは、
それは、現経営者、社長の
「あなた」しかいません。

だから、
最高意思決定者の理事長、社長、経営者が、
後継者に譲るだけでなく、
その後の経営体制まで考えて身を引く

これが本当の意味での「事業承継」
失敗しない「事業承継」だと考えています。

 

このようなお話を、
交流会でお会いした理事長さんにお伝えしました。

後継者がやりにくいという状況も、
よくわかるとおっしゃっていました。

どうやって身を引くのかという点でも、
環境を調整するという点は、
参考になると言っていただきましたよ。

 

無料レポート